名古屋の不思議なローカル線 東海交通事業城北線の謎

東京,大阪に次ぐ規模の都市圏を持つ名古屋。自動車産業が盛んなため、東京や大阪に比べると鉄道利用率は高くないと言われていますが、ラッシュ時の地下鉄東山線は2分間隔で列車が運行されています。これは東京の地下鉄銀座線や大阪の地下鉄御堂筋線に匹敵するレベル!

しかし、名古屋駅のひとつ隣の枇杷島駅に行くと、状況はガラリと変わります
地元名古屋の人にさえ忘れ去られているとも言われるほど影が薄いローカル線があります。

東・海・交・通・事・業・城・北・線」。いったいどんな路線なのでしょうか。

東海交通事業城北線とは

東海交通事業城北線は、愛知県春日井市の勝川駅と愛知県清須市の枇杷島駅を結ぶ11.2kmの路線です。勝川駅構内と枇杷島駅構内の一部を除き、ほとんどの区間が複線ですが、非電化で、日中は1両編成のディーゼルカーが1時間に1本走るのみです。

枇杷島駅と言えば、名古屋駅からたった一駅。常識的に考えればたくさんの利用者がいそうですが、都市部の路線としては本数が非常に少なく、他路線との接続も絶望的に悪いため、利用者は極めて少ない状況です。2011年度の輸送密度は472人/日だとか。特定地方交通線もびっくりの数値です……。

勝川駅に到着したキハ11

城北線は貨物輸送メインの路線になる予定だった!

城北線は、もともと貨物輸送メインの路線になる予定でした。国鉄瀬戸線計画です。もしこの計画が実現していれば、名古屋駅を通過する貨物列車が減ったり、JR中央本線からJR東海道本線を経由して現在のあおなみ線方面へ直通したりできるようになったそうです。笹島駅(名古屋地区の貨物ターミナルのひとつ)は廃止になるし、鉄道貨物は衰退するしで、今となっては実現するメリットもないような計画になってしまいました。そうは言うものの、勝川駅から枇杷島駅までは立派な高架複線を建設してしまったので、何もしないよりは列車を走らせておこう、というスタンスで運行されているのが城北線なのです。

転機が訪れるのは2032年!?

城北線に関わる権利関係は少々複雑です。

城北線の運行を行っているのは東海交通事業(JR東海の子会社)ですが、城北線の線路を保有しているのは東海旅客鉄道(JR東海)です。つまり、その気になればJR城北線として運行することもできるわけです。しかし、あえてJR東海は城北線の運行を自社でやらず、子会社にやらせています。

いったい何故そんなことをしているのでしょうか。

実は、城北線の線路はJR東海が保有しているという事になっていますが、2032年までは鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)がJR東海に貸与しているという形になっていて、JR東海は毎年借りている分のお金をJRTTに支払っています。つまり、2032年になるまで、城北線はJR東海の所有物ではないということです。現時点でJR東海が城北線に設備投資をすれば、工事費とは別に、JRTTに支払う賃借料が増えてしまいます。しかし、2032年以降に城北線に設備投資をすれば、工事費だけで済みます。余計な金を払いたくないJR東海は、あえて城北線に手を加えず、不便なまま放置しているのです。

城北線の旅

JR枇杷島駅

名古屋駅の一つ隣、枇杷島駅。JR線は普通電車しか停まらないものの、朝夕は8両編成の列車が発着するくらいの活気はあります。

枇杷島駅城北線ホーム

こちらが枇杷島駅城北線ホーム。全く人の気配がありません。

城北線キハ11

城北線の列車がやってきました。軽快気動車で間に合うほどの乗客しかいません。
線路自体はJR東海ですが、東海交通事業が運行している路線なので、JR線の切符は使えません。もちろん青春18きっぷもNG!

途中、名鉄犬山線・地下鉄鶴舞線、名鉄小牧線と近接する駅はありますが、実用的ではなく、乗換駅の指定もされてはいません。

勝川駅に到着したキハ11

勝川駅に到着したキハ11。
僕が乗ったときは、イルミネーション列車になっていて、走行中ずっと怪しい光を放っていました。増収策の一環です。

中央線への連絡通路

勝川駅で城北線からJR中央線に乗り換えるためには、この長い通路を歩かなければいけません。しかもこの通路、途中で途切れてしまっていて、JRの駅に行くためには公道を歩かなければいけないという中途半端ぶり。10分弱歩かないと乗り換えられません。

JR勝川駅には城北線が乗り入れるスペースは用意されていますが、前述の理由でJR勝川駅まで直接乗り入れるのは2032年以降になりそうです。

いつか城北線が名古屋という都市にふさわしい路線に変身する日が来るといいですね!

2015年12月31日訪問

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